000:白猫の館



 年季の入った樫材で作られた頑丈なそのベッドは、もう何十年もの間、その部屋に置かれていた。昼といわず夜といわず繰り返される、淫らな肉の絡み合い――――おびただしい淫液と熱い吐息に彩られた、歪んだ血の絆の交わりを、ただ黙って見守ってきた。
 その頑丈なベッドが軋んでいる。
 少年と少女が、ベッドの上で激しく交わっている。あおむけに横たわった少年の腰に少女がまたがり、腰まである長い黒髪を振り乱しながら少年を責め立てている。ベッドに両手をつき、狂おしく腰をグラインドさせ、少年の肉茎を秘唇に深々と咥え込んでは吐き出し、また自分自身の中に深々と埋め込む。愛液に濡れ光る怒張が、少女の奥深くを何度も何度もえぐる。
 つながり合った二つの裸身がベッドの上で弾む。
 淫らな喘ぎと粘液の湿った音を部屋にまき散らしながら弟の肉茎を貪る誄美(るみ)の顔には、サディスティックな悦びの表情が浮かんでいた。
「あんっ……聆(りょう)、……腰……うご……かしてぇッ」
「姉さん……すごいよ……ああッ」
 誄美に組み敷かれ、荒々しいストロークで一方的にいたぶられていた聆がぎごちない動きで腰を突き上げ始めた。二人がつながった部分から漏れる音が激しくなり、媚肉から溢れ出した淫蜜が怒張を伝ってシーツに落ち、染みを作る。
 苦悶なのか悦楽なのか判然としない弟の表情が、誄美を更に昂らせてゆく。抑え切れない嗜虐の血が熱くたぎり、媚肉の締めつけが一段と強くなる。蠢く肉襞は根元まで咥え込んだ肉茎をぐいぐいと絞り上げ、しびれるような快感を聆の中に送り込んでくる。
「出すのよ、聆……あたしの中に、ドバッとぶちまけてぇ!」
 誄美は叫びながら、気違いじみた激しさで腰を使った。聆が、臨界点を超えた。
「ああああッ!! うぐ……ッ」
 聆は、獣のようにうめいた。大きく背を反らせて誄美を下から深く貫いたまま、ものすごい量の精液を熱い淫肉の中にどくどくとほとばしらせた。
 白濁液の噴出に合わせて柔肉が律動し、弟の体液を最後の一滴まで搾り尽くそうとする。意識までもが吸い取られるようだった。
 浮いていた聆の腰が、がくっと落ちた。つながった部分から、姉の胎内に注ぎ込まれた白濁液がぶちゅっとあふれた。後ろに大きく反り返っていた誄美も体を前に倒し、豊満な胸を弟の胸に押しつけるようにして体重を預ける。長い黒髪がベッドの上に散った。
 しばらくの間、二人は死んだように動かなかった。先に動き始めたのは、誄美だった。腰を浮かせると、すっかり萎えた聆のものが白濁した粘液の糸を引いて姉の体内からぬるりと抜け出た。誄美は体を聆の足下の方にずらすと、二人の体液で濡れそぼった弟の肉茎を愛おしげに口に含み込んだ。
「聆、外の人間なんて見てもムダよ……。お前も分かってるでしょ」
 すっかり力を失った弟のものを舌で弄びながら、誄美は言った。


 亜衣奈(あいな)は、眼鏡の奥の瞳を「猫屋敷」に向けた。昼休みの教室で級友の一人が話していた噂話が思い出された。
 「友達に聞いたんだけど……」というおきまりの無責任な接頭辞を冠したその話の内容は、猫しか住んでいないはずのこの無人の屋敷の窓に人影を見たり、夜に明かりが点いているのを見たりした人間がいる、というものだった。
 自分の家の近所のことだし、気になる話ではあった。しかし、亜衣奈は詳しく尋ねることはできなかった。その女生徒とは格別親しい間柄ではなかった。その女生徒だけではない。クラスの誰にも尋ねることはできなかった。
 亜衣奈は、「友人」と呼べるような人間を一人も持っていない。子供の頃から、他人の視線や悪意に対して異常なほど敏感だった。感受性が強すぎる亜衣奈は他人に心を開くことができず、物心ついてからというもの、親しい友人を持った記憶がなかった。兄弟姉妹もなく、早くに母を亡くして一人でいることに慣れていたから特別寂しいとも感じなかった。
 もっとも、それは「慣れ」というよりは「諦め」に近いものだった。他人に心を開くことができない亜衣奈に対して、周囲の人間もまた関心を示すことはほとんどなかった。父の仕事の都合で転校が多かったことも手伝って、亜衣奈は自分から友達を作ろうとはしなかった。高校生になった今でも、それは続いている。
 学校帰りにこの屋敷から視線を感じるようになったのは、一ヶ月ほど前からだ。最初の頃は平均して二〜三日に一度、それも不定期のことだったのでさして気にもとめなかったが、今では毎日必ず何者かの視線を感じる。しかし、悪意の込められたものではない。
 亜衣奈は部活に入っていない。毎日放課後になると図書室に行き、一時間半ほど読書にふけったあと下校する。だから、自ずと毎日ほぼ同じ時刻にここを通ることになる。視線の主はそのことに気付いている。ということは、亜衣奈のことをかなり強い関心を持って見ていることになる。
 ここから、この私をいつも見ている誰か。この私を……。
 背は高くもなし、低くもなし。スタイルも、良くもなければ悪くもない。顔立ちも、特に触れるべき特徴はない。細いメタリックフレームの眼鏡。後ろで三つ編みにしただけの飾り気のない髪。成績は中の上で、体を動かすことは苦手。
 どこにでもいそうな、ごく普通の目立たない内気な女子高校生にしか過ぎない自分に毎日のように視線を投げ掛けるのは、一体誰だろうか。女か、それとも男か。
 男……?
 頬が熱くなった。心の中を誰かに見透かされたような気がして、屋敷に向けていた視線をあわてて正面に戻した。


「ん……っ」
 長く濃厚なくちづけを交わしていた少年と少女は、やがて名残惜しげに唇を離した。今まで下になっていたショートカットの髪の少女は、ベッドの上を転がって体を入れ替えると少年を上から押さえ込んだ。
「きれい……。女の子みたい」
 聆の顔を覗き込みながら、少女がささやく。
「煖於(なお)も、きれいだよ」
 聆はそう答えながら、少女のすらりとした肢体を下から愛撫する。
「不思議……。まるで自分としてるみたい……」
 鏡の中の自分自身と触れ合い、抱き合い、愛し合う。聆と体を重ねるたびに、煖於はそんな錯覚にとらわれる。二人の顔立ちは本当によく似ていた。そして体つきも。
 少女のような顔立ちの少年と、少年のようなスレンダーな体の少女が、互いを求めて肌を合わせる。互いの鼓動を、温もりを感じながら、そっと手を握り合う。
「鏡……か」
「分身よ。聆は私の分身。私と聆は、生まれる前はひとつだったんだから」
「それはちょっと違うな。僕と煖於は性別が違うから、一卵性双生児じゃない。二卵性だから、『ひとつだった』という表現は正確じゃない」
「意地悪」
 煖於は、すねたように聆に背を向けて裸の体を毛布にくるんだ。
「聆、このごろ外ばかり見てる。誄美姉が言ってたわ。毎日夕方に家の前を通る女の子を見てるんだって」
 聆は答えない。
「……その娘、私よりスタイルいいの?」
「気になる?」
「……別に」
 明らかに嘘と分かる答え。煖於は、自分の体にコンプレックスを抱いている節がある。もっとも、ちょっとしたモデル並の容姿を持っている誄美と見比べてしまっては無理もない。
「煖於、好きだよ」
「……どうして外なんか見るの。私は、ここにいるのに」
 突然、聆ががばっと身を起こした。息つく暇も与えずに煖於を四つん這いにさせると、反り返った肉棒で後ろから一気に貫いた。まだよく潤っていない柔肉が軋んだ。
「ああんッ! 聆……ずるい……」


 白猫は塀を蹴って身軽に地面に跳び降りると、じっと亜衣奈を見上げた。
 犬や猫を見かけるといつもそうしているように、亜衣奈はしゃがんで声をかけた。
「おいで……」
 人間相手にはあまり愛想を見せない亜衣奈が、にっこりと微笑んで右手を差し出す。
 白猫は、誰もいないのを確かめるかのように二〜三度辺りを見回すと、亜衣奈の方にたたっと駆けてきた。体を強く擦りつけるようにしながら亜衣奈の足元にぐるぐるとまとわりつく。
 人差し指の腹で喉の辺りを撫でてやると気持ち良さそうに目を細めて、もっとして欲しいとでも言うように顎を突き出して顔を上に向ける。
 そんな素直な反応がうれしくて、亜衣奈は白猫をそっと胸に抱き上げた。白猫は亜衣奈の腕の中で前脚を折って座り込み、全てを亜衣奈に委ね切っている。母の胸に抱かれる乳飲み子のように。
 亜衣奈は白猫の背中に頬を押しつけた。暖かく柔らかな毛並みが肌にここちよい。
「あなた、あの家の子?『猫屋敷』の?」
 猫に向かって話しかけても仕方がないと分かっていながら、亜衣奈は話し続ける。
「あの家って、ホントに空き家なの? 誰も住んでないの?」
 白猫は、ひとつ欠伸をした。
「確かに、視線を感じるの……感じた、の。誰かが私のこと見てたの、毎日。学校の帰り。私のこと見てる人があの家にいるって思ったら、うれしくて、ちょっとドキドキして……。誰なんだろう、どんな人なんだろう、って一人で勝手に想像してみたりして……。もしかしたら、友達になれるかも……って思ってたの」
 眼鏡の奥の瞳が、落胆と諦めが入り混じった複雑な色を映し出す。
「いなくなっちゃったのかなあ、あの人……。代わりに今度はね、意地悪な人が私のことにらみつけてるの。よっぽど私のこと気に入らないのね、きっと」
 亜衣奈の顔に、寂しい笑みが浮かんだ。
「私、なんにもしてないのにね……」
 いっそのこと、全部自分の気のせいだと思えたらどんなに楽だろう。他人の視線に敏感だからっていいことなんかひとつもない。世の中には知らない方がいいことが多過ぎる。


「ああん、あひッ……。いっ……いいのォ……イッちゃうぅ……!」
 紗稚(さち)は、両脚を後ろから抱え込まれて体を持ち上げられた格好で、後ろから聆に貫かれていた。大きく開かれた太腿の間には、まだ薄い繁みと、兄の肉茎を咥え込んでとめどなく淫汁を溢れさせている肉の花弁がのぞいている。
 後ろから突き上げられるたびに、栗色のポニーテールが宙に躍る。
「お兄ちゃん、出して……。紗稚の中にお兄ちゃんの精液出してェ!!」
 自分で胸を揉みしだきながら、紗稚がほとんど泣くようにして叫ぶ。その幼い顔に浮かんでいるのは、犯される悦びを知っている牝の表情、娼婦が男に貫かれる時に見せる淫らな笑みそのものだった。
「いくよ、紗稚。いくよっ……」
 聆は体を痙攣させながら、妹の熱く濡れそぼった淫肉の中に射精した。
「おなかに、入ってくる……いっぱい。あったかい……」
 紗稚は聆とつながったまま首をがっくりと後ろに落として、たっぷりと注ぎ込まれた男のエキスの熱い感触を味わっている。女と呼ぶにはあまりに幼いその裸身を震わせながら。
 しばらくの間そうしていた紗稚が、体を前に倒した。手と膝をベッドについて四つん這いになり、腰を持ち上げた。まだ硬くいきり立っている聆の肉茎が紗稚の中から抜き取られ、ぽっかりと口を開けた媚肉から白濁液が溢れ出した。紗稚はくるりと体の向きを変えて聆の股間に顔を埋めると、たった今まで自分の中に入っていたたくましい肉の屹立を唇の間に咥え込んだ。ぴちゃぴちゃと音を立てながら、男と女の体液で汚れた肉茎を舌で清めていく。
「紗稚ねえ、見ちゃったんだ。お兄ちゃんがあの女と会ってるとこ」
 くりくりとした目で上目使いに聆の顔を見上げながら、紗稚が言った。それだけ言うと、また聆のものに手を添えてしゃぶり始める。喉の奥まで大きく深く頬張り、紅い小さな唇をすぼめて、筋の浮き出た肉棒をしごき上げる。


「許せない……!」
 燃えるような激しい憎悪を含んだ言葉が、煖於の唇の間から絞り出された。
「どっちが?」
「二人ともよ!!」
 誄美の質問に煖於が怒鳴るように答え、紗稚が思わず首をすくめた。
「よりによって私達の聆に手を出すなんて、あの女……。聆も聆よ、あんな女なんかに……」
 悔しさのあまり、語尾が震えた。
「馬鹿な聆。外の人間なんか見てもムダだって言ったのに」
 誄美の台詞には憎しみの感情は込められていなかった。むしろ、憐れみの方が強い。
 結局、紗稚が聆に言った通りになった。遅かれ早かれ、誄美と煖於の知るところとなるのは避けられなかったのだ。
「聆は被害者よ。あの女にたぶらかされただけ。あの女が全て悪いのよ」
 少し考えた後、誄美が静かに言った。何か含むところを感じさせる言い回し。
「あの女が外にいるから、聆がふらふら出ていったりするのよ。あの女が、外にいるから」
「ちょっと待って。まさか、誄美姉……」
「でも、聆も悪いわ」
 誄美の次の台詞が、煖於の抗議の声を遮った。
「だから、罰を与える必要があるわ。二人ともね」
 煖於と紗稚は、誄美の真意を図りかねている。
「あたし達の聆にちょっかいを出したりしたらどんな目に遭うか、たっぷりと体に教え込んであげなきゃ、ね」
 頭の中にある復讐の儀式のプラン。誄美の目に、嗜虐の光が強く宿り始めた。


 煖於(なお)がゆっくり腰を浮かせると、肉唇の奥深く埋め込まれていた肉柱が淫蜜と精液にまみれながら抜け出てくる。めくれ上がった媚肉の間から白濁液があふれ、糸を引いてこぼれ落ちる。煖於は聆(りょう)の肉茎を完全に抜き取ると、今度はそれを口に含んだ。自分の淫液と愛する人の精液で汚れた屹立に舌を絡め、熱い粘膜で包み込んで清めていく。
 まだ熱くみなぎっている肉茎をひとしきりしゃぶり尽くした煖於は、亜衣奈(あいな)を拘束している内診台の側に来た。
 亜衣奈はまるで闇を怖れる子供のように固く目をつぶり、目の前の牡と牝が繰り広げる痴態から顔をそむけていた。素早く伸びた煖於の手が亜衣奈の顎を乱暴に掴み、ぐいと正面を向かせた。そして、精液にまみれた煖於の唇が亜衣奈の唇に重なる。虚を突かれた亜衣奈は無防備だった。煖於はたったいま聆の肉茎からしゃぶり取ったものを、亜衣奈の口の中に流し込んだ。
 亜衣奈は、生まれて初めてのぬるぬるした生臭い感触に激しい拒絶反応を示した。生理的な嫌悪感が胃の辺りからこみ上げてきた。
「うえっ……。げほ……」
 首を思い切り左右に振って煖於の唇を振りほどき、咳込み、吐き出して、何とかして口の中のおぞましい粘液から逃れようとする亜衣奈。唇には残滓がこびりつき、咳込んだ時に飛び散った滴がむき出しの乳房に点々と落ちた。
「聆のミルクをこぼしたわね。罰よ」
 煖於が静かに言った。その双眸に激しい嗜虐の炎をゆらめかせながら。


「そう……そこよ。ん……そこを舐めて……。いい……っ。もっと奥まで入れて……そう……。初めてのくせに上手いじゃない、この淫乱。吸って……吸い出すの……。全部飲むのよ。一滴でもこぼしたら……分かってるわね」
 亜衣奈は、煖於の陰裂に口を押しつけながら舌での奉仕を続けている。女陰から立ち昇る熱気で眼鏡が曇っている。両の乳首にはワニ口クリップ。両手は後ろ手に手錠を掛けられ、両脚は大股開きで固定されて、股間の秘毛と秘苑とを凌辱者たちの目にさらしている。
 いっそ、死んだ方がマシかも……。
 煖於は腰を引いて亜衣奈の唇を解放すると、すばやく嵌口具をはめた。まるで思考を読んだかのように。
「舌でも噛まれちゃ、つまらないからね。これから、もっともっと楽しんでもらわなきゃ」
 言葉を封じられた亜衣奈の両脚の間では、誄美(るみ)が医療器具をいくつか用意している。これからお菓子作りを始める娘のように、鼻唄まじりで。
「まずはこれね」
 誄美が最初に手にしたのは、三弁開腹鈎。その名の示す通り、三つの弁で女性の下腹部を開くための器具である。誄美は右手で亜衣奈の陰裂を拡げると左手で開腹鈎を当てた。ネジを回すと女陰がぎりぎりと押し拡げられ、亜衣奈の秘められた内奥が徐々に外気にさらされていく。
 嵌口具の下から洩れる、くぐもった苦痛のうめき。だが亜衣奈は、衝動のままに身をよじることはしなかった。この連中の神経を逆撫でしたら、何をされるか分からない。亜衣奈は、生きたまま解剖されるような恐怖と苦痛と屈辱にひたすら耐えるしかなかった。
 今や亜衣奈の肉唇は無残に押し開かれ、尿道口と膣口がむき出しにされていた。亜衣奈の陰裂を七センチもの大きさに拡げた誄美は、開腹鈎の弁を固定した。そして今度は、膣拡張器を手に取った。水鳥のくちばしのようなものにハンドルがついていて、ハンドルを握るとくちばしの部分が開くようになっている金属製の器具だ。
 ぽっかりと開いている亜衣奈の膣口に拡張器の先端が当てられ、半分ほど突き入れられた。冷たい金属が潜り込んでくる感触に、亜衣奈の背がびくんと跳ね上がる。浅く入り込んだ膣拡張器の先端が、じりじりと開いていく。
 誄美が拡張器のハンドルを固定すると、紗稚(さち)と煖於も亜衣奈の脚の間に陣取った。今にも裂けてしまいそうな程に押し拡げられた亜衣奈の肉唇を三人で覗き込みながら、口々に言葉で嬲る。
「いい眺め」
「すごーい、ここってこんなに伸びるんだね」
「濡れてるわよ、こんなことされてるのに」
「可愛い顔してるのに、ココはこんなにいやらしいなんて、人は見かけによらないわね」
「これ、もっと奥までずぼっと入れてぐいっと開いちゃえばいいのに」
「それじゃ、後の楽しみがなくなっちゃうわ」
「あ、そっか」
 あまりの屈辱に、亜衣奈がしゃくり上げ始めた。力なく後ろにのけぞったままのその顔の前に、誄美が立った。
「感謝して欲しいわね。スムーズに入るように拡げてあげてるのに」
 誄美の股間には、男性の巨根を型取ったディルドゥがいつの間にか装着されていた。その圧倒的なたくましさ。亜衣奈が思わずしゃくり上げるのをやめたほどだ。
 誄美は亜衣奈の嵌口具を外して口を開かせると人工のペニスを一気に突っ込み、ゆっくりと腰を前後させ始めた。
「ちゃんと濡らさないと、痛い目見るわよ」
 この次に一体どんなことをされるのか、もはや亜衣奈には想像もつかなくなっていた。亜衣奈の想像をはるかに越えた異常な世界だった。想像する気力も尽きた。何も考えられず、言われるままに、口に押し込まれるものをしゃぶった。
 亜衣奈の唾液をディルドゥにたっぷりと絡みつかせると、誄美はピストン運動をやめて張型を抜いた。妹たちが膣拡張器と三弁開腹鈎を外し、誄美が亜衣奈の脚の間に腰を入れる。唾液で濡れそぼったディルドゥの先端を膣口に当てがって腰を進めると、少し潜り込んだところで障壁に当たった。
 誄美は思い切り腰を突き出し、亜衣奈の処女膜を突き破った。障害を突破したディルドゥが、ぐにゃりと歪んで押し拡げられた肉道に根元まで埋まった。
「ひぎぃ……っ! いた……、いたぁい……やめてぇ。いや……あ」
「穴を開けてあげたわよ。女に犯られる気分はどう?」
 切れぎれの弱々しい悲鳴を上げながら、顔中を涙でぐしゃぐしゃにして泣く亜衣奈。その涙を舌で舐めながら、亜衣奈にのしかかるようにして腰を使っている誄美。
 傍らのベッドに縛りつけられている聆は、異常な興奮にとらわれていた。想い人が目の前で姉と妹たちに凌辱されているというのに、その凄惨な光景から目をそらすことができない。逞しくいきり立った牡の器官は、激しい動悸と同調してびくん、びくんと鎌首をもたげながら天を仰いでいる。こめかみがずきずきと脈打ち、目眩にも似た感覚がある。
「ふふっ……、お兄ちゃん、コーフンしてる?」
 紗稚が聆の股間にすり寄ってきた。小さな両手で兄の肉茎を握りしめ、真っ赤に充血して膨れあがっている先端を舌でちろちろとくすぐる。
「こんなになってるよ……、熱い……。あの人としたいの? あの人に入れたい? 誄美姉みたいに」


 おとなしくなった亜衣奈の目の前に、誄美がイルリガートル浣腸器のガラス容器をぶら下げた。そんなものを見たこともない亜衣奈は、何に使うものなのか分からない。
 亜衣奈の後ろに回った誄美が、浣腸器のノズルを亜衣奈の後ろのすぼまりにねじ込んだ。
「ひっ……! そこ、そこはいやぁ……。やめて……」
 無駄と分かっていても、哀願せずにはいられない。その哀願の声こそが凌辱者を悦ばせるということに、亜衣奈は気付いていなかった。
 誄美が浣腸器のコックを開くと、容器にたっぷりと入ったグリセリン溶液がチューブの中を勢いよく流れ落ち、亜衣奈の後門に呑み込まれていく。
「ああっ! 冷たい……何、これ……いやぁ……」
 グリセリン溶液が腹の中に滲み渡っていくおぞましい感覚に、亜衣奈は身を震わせた。だがそれも束の間、今度は別の衝動が襲ってきた。
 絶え間なく流し込まれるグリセリン溶液で張ってきた亜衣奈の腹が、大きな音を立てて鳴った。亜衣奈は、内臓が掻き回されるような錯覚を覚える。耐えがたい、猛烈な便意が一気にこみ上げてきた。
「お腹……お腹が……っ、あぐ……」
「お腹がどうしたって? はっきり言いなさいよ」
「トイレ……おトイレに行かせて……」
「トイレに行って何をするの? オナニーでもするの? あそこに指を突っ込んでぐちょぐちょに掻き回すの? それともバイブかしら?」
「……そんな」
「ちゃんと言いなさい。ちゃんと言えたら行かせてあげる」
「……ウンチ」
「聞こえないわ」
「ウ……ウンチがしたいのっ! お願い、おトイレに……っ」
 亜衣奈はしゃべるのがやっとという状態まで追い詰められていた。苦痛と恥辱で満面を朱に染めている。
「よくできました。あなたのトイレはこれよ」
 紗稚が持ってきたプラスチックのおまるを、誄美は亜衣奈の足元に蹴飛ばした。
「そんな……、トイレに行かせてくれるって……」
「あなたのトイレなんてこれで十分よ。嫌なら、そうやって立ったまま垂れ流しなさい」
 亜衣奈を吊っている鎖が巻き下ろされてゆく。亜衣奈にはもはや思考能力は残っていなかった。必死に菊座をすぼめながら、おまるの上にしゃがみ込んでいく。鎖の巻き下ろしが止まった。両手を頭上に上げたまま、かろうじておまるに腰を掛けられる高さだった。煖於と紗稚も亜衣奈の側にきた。
「見ないで……」
「だーめ。紗稚、お姉ちゃんがウンチするところ見たいもん」
 気が遠くなるほどの努力も、哀願も、無駄だった。一度堰を切った禁断の濁流をとどめることは不可能だった。亜衣奈は泣きながら、誰にも見せられない行為を無遠慮な好奇の目にさらした。
「すごい勢い」
「可愛い顔してても、お腹の中にはこんな汚いものが詰まってるのよね」
「まだ出るの? 便秘だったんじゃない、子猫ちゃん?」
 嬲り言葉を浴びながら、亜衣奈は大きく開いた後門から汚物を噴き出し続けた。無限に長い時間に思えた。
 汚辱の儀式が終わった時、亜衣奈には泣く気力すらも残っていなかった。舌を噛んで自ら死を選ぶ力さえも。体の力も、精神の力も、涙も、拒絶の声も、全てが体の中から流れ去り、失われていた。もう殺されたって構わない……いっそ殺された方がマシ……。そんな気分だった。
 汚物の始末が終わると、亜衣奈を吊った鎖が再び巻き上げられた。亜衣奈を立たせたまま貫くために。
 誄美が、亜衣奈の処女を奪ったディルドゥを再び着けて亜衣奈の後ろに回った。白い双臀の谷間を両手で広げ、すっかり緩んでいる菊座を指で揉みほぐし、襞の隙間を一つ一つ舌で押し広げるようにして舐める。
 十分に潤んだところで人工ペニスの先端を突き入れると、弛緩した後門はあっさりと侵入を許した。誄美が亜衣奈の腰に手を回して体を密着させると、張型は簡単にずぶずぶと潜り込んでいく。
 ほとんど声を洩らさなかった亜衣奈だが、ディルドゥを根元まで埋め込んだ誄美がいきなり激しい抽送を始めると、さすがに顔を歪めた。苦悶なのか悦楽なのか、判然としない表情が浮かぶ。
「ほらほら、もっとケツの穴開いて、いやらしい音立てて派手に鳴きなさい! そのためにお腹の中をきれいにしたんだから、遠慮はいらないわよ」
 誄美が肌を紅潮させ玉の汗を光らせながら、亜衣奈の後門を犯す。拡張し切った括約筋を貫いて出入りする長大な張型が、亜衣奈の内臓を掻き回し、敏感な粘膜をえぐる。
「あふ……ひっ……。くっ、あぐ……ん」
「段々いい声で鳴くようになってきたじゃない。もっともっと鳴かせてあげるわ、小猫ちゃん」
 煖於が自分の股間に双頭のディルドゥを埋め込みながら、興奮を押し殺した声で言った。
 立ったまま人工ペニスで後門を犯されている女の前に、もう一人の女が立った。煖於は、亜衣奈の陰裂にディルドゥの先端を無造作に突っ込み、一気に根元まで埋めた。
 亜衣奈の中で、二つのディルドゥが薄い粘膜を隔ててぶつかり合った。その衝撃は、亜衣奈をサンドイッチにして犯す二人の女にも伝わった。亜衣奈を前後から串刺しにしている淫具が、逆に誄美と煖於の肉路を突き上げた。


 前後の穴を犯しぬかれた亜衣奈の白い裸身が、床に崩れ落ちている。その側には、ディルドゥを着けたままの誄美と煖於。その傍らには、天井から吊られたままの聆。
 杳子(ようこ)が動いた。それだけで場の空気が変わる。聆の顔に微かな怯えの色が浮かんだ。杳子は、聆の方に歩いてくる。
「母さん、やめてくれ……。母さ……」
 聆の言葉が途切れた。聆は、杳子を見ていた。いや、聆の目が杳子に吸い寄せられ、杳子の妖かしの視線にとらわれたのだ。
 杳子は、聆の手枷を外した。しかし戒めを解かれた聆は、両手をだらりと下げて立ったまま、杳子の目を見ている。やがて聆が動いた。さっきまでとは打って変わった、光のない冷たい瞳。生気のない、どこか人形を思わせる動き。
 聆は亜衣奈の側に膝をついた。亜衣奈の腰を後ろから掴んで引き起こし、散々に荒らされた後ろの穴を肉の凶器で一気に貫いた。
 亜衣奈の体が跳ねた。爛れた、どろどろした快楽の海の昏い深みに沈み込んでいた意識が、汚しぬかれた体にかろうじて戻ってくる。もっとも、それはもはや『意識』と呼べるようなものではなかった。ただ肉の快美だけを求める原初的な狂おしい衝動の塊に過ぎなかった。
 もう誰でもよかった。何でもいいから穴に突っ込まれたものを咥え込んでよがり狂いたかった。後門を貫いて内臓をえぐる肉茎の熱さも、擦られる粘膜も、聆が腰を叩きつけるたびに体が揺さぶられる感覚も、全てが心地よかった。亜衣奈は自分から腰を振り、発情した牝そのものの喘ぎ声を撒き散らしながら交尾に没頭した。だらしなく開いた唇の端からはよだれが流れ、胸の隆起が大きく揺れている。
「お兄ちゃんにお尻に突っ込まれて気持ちイイ? 泥棒猫のお姉ちゃん。もっと気持ちよくしてあげる。二人一緒にね」
 紗稚はもはや全てを忘れてよがり狂っている亜衣奈の側に来ると、例のワニ口クリップ付きのコードを亜衣奈の乳首につなぎ、まるで誘うように口を開けて淫蜜を垂れ流している亜衣奈の肉門にバイブレーターを突っ込んだ。表面に電極を埋め込んだ特製のバイブからはコントローラーの他にもう一本のコードが伸び、電源装置につながっている。
 突然、亜衣奈の秘肉に埋め込まれたバイブが蠢き始め、乳首から股間へ電撃が走り抜けた。
 前に電流を流された時には苦痛としか感じなかったのに、今では文字通りしびれるような凄まじい快楽と化している。亜衣奈は四つん這いになって男に菊座を犯され、乳首をクリップで挟まれ、媚肉にバイブを突っ込まれて電流を流されながら涙を流して悦んでいる。
 紗稚は新しいクリップ付きコードを今度は聆の乳首につなぎ、もう一方の端を電源につないでスイッチを入れた。亜衣奈の乳首から入った電流が、前に突っ込まれたバイブと後ろに突っ込まれた肉茎の二ヶ所から抜ける。
 紗稚はバイブのコントローラーと電源のスイッチで、つながった聆と亜衣奈を躍らせた。亜衣奈の中のバイブは強弱をつけながら暴れ回り、それとは別に電撃が不規則に襲ってくる。聆と亜衣奈は、歓喜のうめきや喘ぎを洩らしながら犯し、犯された。
 誄美が、獣じみた勢いで亜衣奈の後門をえぐっている聆の後ろに回った。
「聆!」
 その刹那、聆の動きが止まった。誄美のディルドゥが弟の後門にこじ入れられた。ほぐれていない穴に、張型が強引に押し込まれる。
「これがさっきまでその子のお尻に入っていたのよ。聆もこれで掻き回してあげる」



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メガネっ娘器具女の子同士浣腸3Pアナル責めアナル中出し乱交
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは関係ありません。


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