イベントアフターレポート(2002年)


12月30日 コミックマーケット63
11月17日 コミティア62
9月29日 ぶんぶん!6
8月11日 コミックマーケット62



12/30(月) コミックマーケット63(東京ビッグサイト) 公式HP


 前日のオフ会が盛り上がりすぎて帰宅が予定より大幅に遅れた上に、まだ残っていた『小分けさん』の製本。わずか1時間睡眠で3日目に出撃するハメになってしまいました(泣)。ちゃんと製本終わらせとかなかった自分が悪いんだけどさ……。
 会場までの移動はトラブルもなく所要時間もほぼ事前の予想通りでしたが、委託先の「暴走!!不発団」のスペースに着いた途端に巡回スタッフが見本誌取りに来て焦った。
 開会と同時にみんな買い物に行ってしまったので、午前中は高井さんと二人で売り子。不発団は中堅サークルなので、11時頃になると目の回る忙しさ。でも売れるのは不発団の本ばかりで、『小分けさん』はさっぱり(泣)。予想はしてたけど、ここまでとは……。

 今回分かったのは、漫画同人誌と小説同人誌はやはり「水と油」であり、委託先で「ついで買い」の恩恵に預かるためには水同士・油同士でなければならないということ。漫画同人誌のスペースに小説同人誌を委託しても、見向きもされないのである。当たり前といえば当たり前ですが、今回ハッキリと数字で示されました。
 でも今回は、もとから部数は期待していませんでした。いつものように、単に「たくさん売れれば売れるほどラッキー」ではなく、ある「数」を見極めようと思っていました。
 それは、「年に2回の夏コミ・冬コミでのみ『もんどり小屋』に来てくれる人で、なおかつこのHPを見て『不発団』のスペースに買いに来てくれる人の数」です。「熱心な固定客の数」および「宣伝媒体・告知の場としてのこのHPの効果」を知りたかったのです。どちらも、予想(というか期待)をかなり下回りました。ちょっと凹みました。
 まだまだ精進が足りないということですな。エロ小説屋はエロ小説で語るしかない。今年はいっぱい語りますよ。

 それにはやっぱり、夏コミでスペース欲しいッス。切実に。やはり小説本はあるべき場所、あるべきジャンルにないと手に取ってもらえない。「男性向け創作小説」という場所に。島一本すら形成できない超弱小ジャンルだけど(泣)、「もんどり小屋」にとっては大事な畑。他の畑では実をつけられない。


11/17(日) コミティア62(東京ビッグサイト) 公式HP


 会場入り、10時40分。時間外受付と店開き準備完了は11時20分。いつもよりマシとはいえ、手際がいいとは到底言えません。ましてコミティアは開場直後が一番魚影が濃いので、開場と同時に販売を始められないとちとイタイ。現に、何人分かの機会利益損失があったみたいだしなあ。
 で、ちょうど準備完了した辺りで羊頭狗肉の巽ヒロヲさんが来訪。なんというか、見た目はごくフツーの人でした。しかし、開設からちょうど2年で100万アクセスに届こうとしている大手サイトの管理者なのです! おお、この人が! 「万能無敵/ミルク・エンジェル」書いてるのか! すみません、「小分けさん Volume08:美鳥」の原稿にかかりきりで第9話まだ読んでません。サイト運営上の助言を頂いた上に、「小分けさん」をがばっとお買い上げいただきありがとうございました。

 さて、イベントそのものはマターリというか、いつものコミティアというか、平たく言うとちょっと人が少なかったような気がしますが、まあ平穏のうちに閉会の拍手。
 十光土佐的には満足できたかというと、そうは言いがたいですな。売り上げは過去のコミティアの最高を少し上回って記録更新したというのに、なぜか? 実は、今回既刊と新刊の生産に注ぎ込んだ金額と今日の売り上げが、ほぼ同じだったのです。「小分けさん」の原価率は、ページ数で変動しますがおよそ5割。ということはですよ、今回生産した部数の半分しかさばけなかった、ということです。
 しかし、決して売れ行きが悪かったわけではありません(だって売り上げは過去最高なんだから)。そうです、作りすぎたのです(爆)。アクセス数が2ケタ違う大手サイトと相互リンクしていただいてカウンターの伸びが加速したため、HPの宣伝効果を過大に見積もって浮かれてしまいました。
 「小分けさん Volume04:晃」の時はこれとは逆に、コミティアで意外に売れたためその後に作りすぎてコミケで不評で在庫どっさり、ということがありました。どうもコミティアは「数の読み」が難しい。食えぬイベントよ。

 「十光土佐のアリバイ証明企画」は、もうやめます。冬コミは落選で「もんどり小屋」のスペースないからしょーもない企画はできないし、その次は2月のコミティア。いつまでも引きずってちゃキリがない。やめたやめた。


9/29(日) ぶんぶん!6(川崎市産業振興会館) 公式HP


 ちゃんとできたこと。新刊「小分けさん Volume07:敦子IV」発行、豪華な粗品プレゼント、リレー小説。以上。
 できなかったこと。時刊新聞もどきペーパー。
 「時刊新聞もどき」どころか、ペーパー自体が出せませんでした。一太郎が土壇場で反乱を起こしてくれやがったからです。せっかく「ぶんぶん!」専用のネタがあったのに!
 そして、できなかったことがもう一つ。夏コミアフターレポート中の「十光土佐のアリバイ証明企画」です。なんでできなかったかというと、「パスワード付きのやつ下さい」と言ってくれたお客さんが一人もいなかったからです(爆)。ちゃんと準備していったのに〜!

 そしてさらに、会場で大チョンボをやらかしてしまいました。例によって(^^;)会場で現地製本をしたのですが、本の背に貼る製本テープを自宅に忘れてきてしまったのです。これを売っていいものかどうか激しく葛藤しましたが、「新刊を楽しみにして来てくれる人がいる以上……いるのか? いるはずだ。いてほしい! いるものとして! その期待に応えなければならないっ……! 今日だっ……! 今日やらなければ意味がないんだっ……!」と福本伸行調に決断して、欠陥品を売ってしまいました。すみません。

 背に製本テープを貼っていない(ホッチキスの針が見えている)本を買ってしまった方は、今後のイベントの際に「もんどり小屋」のスペースまでお持ちくだされば、完全品と交換します。申し訳ありませんでした。

 「十光土佐のアリバイ証明企画」は当分続行します。こうなりゃ意地だ。


8/11(日) コミックマーケット62(東京ビッグサイト) 公式HP


 夏コミって、終わってみると「暑い」「疲れた」しか覚えてないんだよね、毎年(笑)。
 というわけで「アフターレポート」と呼べるほどの実体はありません。

 その代わりと言ってはナンですが、新刊落とした事情の暴露と鬱憤晴らしをしたいと思います。
 このページの夏コミ直前情報を見て、なおかつ「もんどり小屋」のスペースに当日足を運んだ人は、そこにあるはずの「小分けさん Volume07:敦子IV」がないのを見てガッカリされたことと思います。本当に申し訳ありませんでした。
 予定通り発行するつもりだったんです。開会12時間前までは
 時間的にはかなり厳しいながらもなんとか原稿が完成し、ワープロでプリントアウトしている最中に、その悪夢のような現実は襲ってきました。
 途中でインクリボンが切れてしまったのです。しかも予備がない!
 呆然としながらもなんとか頭をフル回転させて、何か手はないかと必死に考えました。
 しかし電器店はとっくに閉まっている時間だし、コンビニで買えるようなブツでもない(電器店ですら置いてないこともある…)。
 考えた末、二つの方法を思いつきました。ひとつめは、今までは考えたことすらなかった「インクリボンの再使用」です。「EWタイプ」のインクリボンカセットは、カセットテープのようにA面・B面の区別があり、最後まで巻き取ったカセットを裏返しにセットして再使用できるようになっています。しかし一度使ったインクリボンですから、文字を印字するのに使った部分は当然インクが抜けてしまっているので文字がブツ切りになってしまいます。こんなもの、レイアウトや大雑把な内容の確認のためのテスト印字ぐらいしか使い道がありません。
 試しに印字してみた結果がコレ↓です。上半分が正常な印字、下半分がインクリボン再使用です。

テストプリント結果

 一目瞭然です。使い物になりません。
 ふたつめの方法は、家庭用ワープロで書いたこの原稿を「一太郎」に移植して、パソコンのプリンタで印字するという最終手段です。しかし私は一太郎には不慣れで、この版下原稿のあまりに特殊なフォーマットを再現するにはどれだけの試行錯誤が必要なのか分かりません。うまくいけば1時間でできるかも知れないけど、多分2〜3時間格闘したあげく結局ダメでした、という結果になる可能性が高い。今はとにかく時間がない。リスクが大きすぎます。
 過去の実体験から、こういう「一か八か」の賭けは10回中8回は失敗することが分かっています。そうなれば時間と体力を無為に浪費し、睡眠時間を失ったあげくに新刊はなし。肉体的にも精神的にもボロボロの状態で会場に赴くことになります。そんな状態ではお客さんの応対も満足にできないし、なにより自分自身が楽しめません。惨めすぎます。本を売るためだけに行くんじゃないんだから
 結局、こういう「一か八か」の状況に追い込まれたこと自体が既に敗北なのです。いたずらにあがいても傷を大きくするだけです。あきらめるしかありませんでした。
 万策尽き、よりによって年に2回の晴れ舞台で新刊の発行が不可能と分かった時の無念さ、悔しさはとても言葉に表せません(それを少しでも分かってほしくて、これを書いています)。もう行くのやめよう、欠席しようと本気で思いました。立ち直るのに30分以上かかりました。

 そして、会場でそれに追い討ちをかけるような出来事がありました。
 知人のサークルに挨拶に行ってペーパーを渡し、そこで(黙ってりゃ分からないのに)あと一歩のところで新刊を落としたことを話したのです。するとその知人に「このペーパー読む限り、遊びまくってて原稿落としたようにしか受け取れねえぞ」と言われてしまいました。
 さらに、その傍らにいた某氏に「ハードの不調なんてのは、新刊落とした言い訳としては三流」といった意味のことを言われました。
 この某氏の発言の真意は「そもそも、予期せぬトラブルに対処できる時間的余裕のない状況にしてしまったのが悪い」「不可抗力であれなんであれ、新刊を楽しみにして足を運んでくれた客の期待を裏切ったことには変わりない。新刊が落ちた理由なんて客には関係ないことなんだから、言い訳をするな」といったあたりにあるんじゃないかと思います。決して「本当は間に合わなかったんだろ? 見え見えのウソついてんじゃねえぞゴルァ! 逝ってよし! オマエモナー!」という意味ではなかった…と思います。思いたい…。
 しかし「言い訳」という言葉に激しく引っかかりを感じたのは事実です。

 確かに、今回のペーパーの内容は、ほとんどが夏コミの1週間前にお台場で開催されたあるイベントの取材記事(?)で占められています。そして「原稿はどうしたんだ、おい」という突っ込みもあります。しかしこれは、「もんどり紙」文体ではデフォルトの軽いセルフ突っ込みにすぎません。新刊は間に合うという勝算があったからこそ、お台場まで出かけたのです。
 他にも「9日午前10時現在、原稿は未完成」という誤解を招く可能性のある表記もありましたが、これだって「遅くとも10日夜までには必ず仕上がる」という確信があったからです。「原稿を放り出して遊んでいたせいで新刊を落とした」と受け取られるのは非常に心外です。
 今後は、執筆中の原稿の進み具合についてペーパーでは一切言及しないことにします。「新刊は100%間に合う」という確信があったとしても今回のような不測の事態は起こりうるし、そうなった場合に結果として大ウソをつくことになりかねませんから。
 「臨場感」を読み手と共有できる、という同人ならではの楽しさが損なわれるのは残念ですけど。

 閉会後、帰宅しても悔しさと無念さは晴れませんでした。原稿が本当に完成していたことを証明する方法は何かないものか、と考えながらブッ倒れて寝てしまいました。
 翌朝(といってももう昼近かった)、夢うつつの中で思いついて目を覚ましました。
「完成している原稿をテキストファイルかHTMLファイルに加工して今すぐネットにUPしたらどうだ? 完全ではないにしろ、かなり有力な『アリバイ』になるのでは?」
 しかしそれでは、「敦子IV」を無料公開することになってしまいます。うむむ。
「よし、暗号化してとりあえずUPして、暗号化を解除するパスワードは「小分けさん Volume07:敦子IV」を買ってくれた人にだけ教える。これなら無料公開にはならないぞ」

 早速検索して手頃なツールを発見。「ファイル分割&暗号化ツール Fdivider Ver.0.1.5a」を使うことにしました。(参照:「全部フリー!STEINのミニミニ工房」


 以下、労多くして実り少ない十光土佐の自己満足企画です。お暇な方、物好きな方だけお付き合いくだちい。
 まず、↓のページからファイルをダウンロードしてください。(もちろんウイルスチェック済みです)

ATSUKO_4.exe のダウンロードページへ

 これは「小分けさん Volume07:敦子IV」の完成原稿をテキストファイルに変換して「Fdivider Ver.0.1.5a」で暗号化したものです。LHAなどの圧縮ツールの、いわゆる「自己解凍」と同じ機能を持っています。つまり、暗号化に使用した「Fdivider」がなくてもこのファイル単体で暗号化の解除ができます。でもWindows専用です。Macユーザーの方はごめんなさい。
 ダブルクリックしてパスワードを入れれば元のテキストファイルが生成されます。詳細は次回参加イベント「ぶんぶん!6」の直前情報およびアフターレポートで。今はとりあえずダウンロードして、大事にとっといてください。

 実は、このファイルは「弱い間接証拠」でしかありません。前夜に原稿が完成していたことを証明するには、前夜のうちに(遅くとも当日朝出発するまでに)ネットにUPしていなければ証拠にならないからです。
 全国5000万のネットサーファー必携の書必携ツール「WWWC」に"http://www.h4.dion.ne.jp/~mondori/ATSUKO_4.exe"と入力してチェックをかけると、「2002/08/12 14:05」と表示されるはずです。このファイルがUPされた日時(正確にはファイルが作成された日時、らしい)です。
 コミケ閉会から22時間。疲れ切って帰ってきて、メシ食って、ブッ倒れて寝て、起きて、実は完成していなかった原稿を完成させて、暗号化してネットにUPして、あたかも前夜のうちに完成していたように偽装する…。22時間でこれだけのことができるかどうか、それはみなさんの判断におまかせします。


 長々々々と書いてしまいましたが、これは「本当は原稿が間に合わなかったのに、それを隠蔽するために『ワープロが使用不能になった』とウソをついている」という誤解があるとしたら耐えがたいことなので、その誤解を解くためのものです。新刊を落としたこと自体を正当化するつもりはありません。
 そもそも、今回新刊を発行できなかった最も直接的で致命的な原因は「インクリボンの予備の有無の確認を怠った」ことです。予測も予防もできない、真の意味での「不可抗力」ではありません。
 平たく言えば、ぜーんぶ十光土佐が悪いんです。郵便ポストが赤いのも、住基ネットでトラブルが多発してるのも、日本ハムの商品がスーパーから消えたのも、みーんな俺が悪いんですよーだ、えぐえぐ。(いじけてる場合か)

 年に2回のコミケでしか「もんどり小屋」のスペースに来られない方がいらっしゃったとしたら、今回大変な落胆と肩透かしを食らわしてしまったことでしょう。本当に申し訳ありませんでした。このようなことが二度とないよう、再発防止に努めます。
 見捨てられないよう、努力します。

 だから、見捨てないでください。



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