四 、 「 牝 」





 いつになく凄惨な凌辱劇が繰り広げられていた。
 リザは一人の男の腰に前向きに跨り、下の口に剛直を深く咥え込まされていた。同時に、目の前に立っている二人目の男のものを唇の間にねじ込まれ、更に背後の三人目の男の肉茎で直腸を深々と抉られていた。
 三本の肉茎で貫かれ、リザは失神寸前だった。体中に脂汗を浮かべ、白目を剥き、時折苦痛の呻きとも快楽の喘ぎともつかない声を洩らすばかりだ。三人の男の動きに翻弄され、内臓まで掻き回される。体全体で男達の欲望を受け入れ、まるで人形のように弄ばれ、嬲られ、汚される。唇が、媚肉が、菊座が、容赦なく突っ込まれる怒張をわななきながら締め付けている。
 その様子を、四人目の男がビデオカメラに収めていた。
 一度に三人の男に貫かれるだけでも気が狂いそうなのに、その上その恥態をビデオに撮られる。まともな神経の持ち主なら到底耐えられない屈辱だった。
 三人の男がそれぞれに呻きを洩らし、リザの体内深くに大量の体液を注ぎ込んだ。男達が体を離して肉茎を引き抜くと、リザは三つの穴から白濁液を溢れさせながらコンクリートの床に倒れ込んだ。
 男の一人が、倒れたリザの髪を掴んで顔を上げさせた。
 リザの目には、光がなかった。
「へっ。こいつ、堕ちたぜ」
 男は仲間達を振り返ると、弾んだ声で言った。
「リザさんっ! しっかりして!」
 ベッドの上から、鎖につながれたままのルネが叫んだ。
 男の一人がベッドに近づくと、例によって首輪を着けたまま鎖を外した。
 男はルネの髪を掴み、リザの側まで引きずってくると床に転がした。
「よし。おい、メス犬。お前の後輩にミルクを飲ませてやれ。今俺達が出したミルクをな」
 リザが、ゆっくりと立ち上がった。
「お前のあそこに指を突っ込んで、掻き出せ」
「はい……」
 ぞっとするような非情な命令に、リザは素直に頷いた。
 リザは床に座り込んでいるルネの方に向き直ると、ゆっくりとした足取りで近づいてきた。ルネは冷たい床に尻を着けたまま、両手で必死に後ずさった。しかし、逃げ場はなかった。すぐに背中が壁に突き当たった。
「リザさん、お願い……目を覚まして……」
 哀願の声も、もはやリザの心には永久に届かない。
 リザはルネを壁際に追い詰めるとその前に仁王立ちになって両脚を開き、腰を前に突き出した。右手の人差し指と中指を揃えて、凌辱の名残でまだぱっくりと口を開けている肉の割れ目にズブリと潜り込ませた。
 肉襞を抉るようにして掻き出された白濁液が、糸を引きながらルネの顔にこぼれ落ちた。
 リザは男達の命ずるままに、自分の肉花に指を突っ込んでたった今注ぎ込まれた精液を掻き出し、ルネの顔を汚してゆく。「意思」というものが全く感じられなかった。飼い主に完全に服従する肉奴隷と化していた。
「いや……リザさん……やめて……」
 地下牢のコンクリートの壁のぞっとするような冷たさを裸の背中に感じながら、ルネは弱々しい声を上げた。
「いいぞ、メス犬。次はこれを着けろ」
 男は、ベルト付きのディルドゥを取り出してリザに手渡した。
「まず、片方をお前のあそこに突っ込むんだ」
「はい……」
 リザは言われるままに、革ベルトの両側にそそり立っている張型の一方の先端を自分の秘唇に当てがい、ズブズブと沈めた。
「くふうッ……はあ……」
 満足げな声を洩らしながら根元まで埋め込むと、肉路の奥に残っていた白濁液が押し出されて溢れ、張型を伝った。ベルトを止めると、おぞましい人工ペニスが出来上がった。
 恐怖で見開かれたルネの目に、精液を滴らせた張型が絶望的に大きく映った。
「よし。まずは口に突っ込んでやれ」
「はい……」
 白濁液にまみれた黒い張型がルネの唇に押しつけられた。そのヌルヌルした感触に身を震わせながら、ルネはかたくなに目と唇を閉ざしていた。
 リザは両手でルネの頭を掴んで引き寄せ、腰を突き出した。おぞましいディルドゥがルネの唇の間にぬるりと滑り込んだ。
 張型のゴムの異臭と精液の生臭さでむせ返るようだった。目尻から涙が溢れた。
「よーくしゃぶって、キレイにしろ。キレイになったら、今度はあそこに突っ込んでやるぜ」
 男達の嬲り言葉が聞こえた途端、ルネはいやいやをするように首を振った。口に長大な張型を咥えさせられたまま。
「聞き分けのねえガキだ。口の中を掻き回してやれ」
「はい……」
 リザが腰を振り始めた。張型が口腔深くズブズブと送り込まれる。ゴムで出来た冷たいペニスを喉の奥まで突っ込まれ、ルネは激しく咳込んだ。
「苦しいか、メス犬? だったらちゃんと自分でやれ」
 ルネは、凌辱者達に絶対に逆らうことが出来ないことを悟った。目をつぶり、口を開け、震える舌を恐る恐る突き出して、張型をそっと舐めた。
 全裸の躯に首輪とナースキャップだけを着けた少女が、自分を犯すためのおぞましい器具に舌を這わせている。顔中涙と精液にまみれながらおずおずと手を添えてディルドゥを舐めしゃぶっているルネの表情は、凌辱者達の嗜虐心を激しくそそり立てずにはおかなかった。
 張型にまとわりついた男達の欲望の残滓を舌で舐め取っているうちに、自暴自棄にも似た、どうにもならないあきらめの暗雲がルネの心を蝕んでいった。
「さーて、そろそろお楽しみといこうか。裏返して後ろから突っ込め」
「はい……」
 ルネが体をびくっと震わせた。ディルドゥが口から引き抜かれ、透明な唾液の糸が唇と張型の先端を結んだ。
 リザが、ルネの体を乱暴に転がしてうつ伏せにした。
「……いや……」
 リザに後ろから腰を抱えられ張型が秘肉に押し当てられても、ルネは震えながら小さく拒絶の声を洩らすばかりだ。
 リザが少しずつ腰を進めると、黒光りするディルドゥがルネの秘肉にズブズブとめり込んでゆく。
「いやああ――――ッ!!」
 冷たい人工ペニスを胎内に一杯に押し込まれ、ルネは魂が引き裂かれるような哀切な悲鳴を上げた。
 二人の牝奴隷が、おぞましい張型でひとつにつながった。
 ルネの心は、ドス黒い絶望で塗り潰された。共に凄惨な凌辱を加えられ、動物以下の扱いを受けて人間としての誇りを打ち砕かれ、それでも最後の微かな希望を捨てていなかったリザさんが、とうとう……。最後の心の支えを失い、ルネは目の前が真っ暗になった。
 だがそれと同時に、ほとんど活動を停止した精神の奥底で、昏い何かが蠢いた。
 犬のように首輪を着けられ、四つん這いになって尻を後ろに突き出した惨めな格好で、憧れの先輩看護婦に犯されている……そう思った途端、妖しい倒錯した感情が湧き上がってきた。
 どうせ逃げられない。もう、どうなってもいい……。
 全てを投げ捨てた瞬間、倒錯した肉の悦びが爆発的に膨れ上がり、あっと言う間にルネを飲み込んだ。リザが、ぎごちない動きで抽送を始めた。ルネは、太く硬い張型で深く貫かれる度に襲ってくる圧倒的な快感の津波に身を任せた。
 犯される牝の快感と喜悦を満面に浮かべながら大胆な声を洩らし、尻肉を揺するようにして自分から腰を動かす。その反動でリザの中に埋め込まれたディルドゥが肉襞を突き上げ、透明な淫蜜が溢れ出す。つながった二人の躯の間から覗くディルドゥは溢れ滴る二人分の愛液で濡れ光り、湿った卑猥な音を立てながらルネの秘唇を深々と抉っていた。
「ふ……うんッ、んッ……」
「あんッ、もっと……もっとォ! もっとズボッと突っ込んでぇ!」
 二人のはしたない嬌声が重なり合う。つながった二人の牝奴隷は、互いの淫らな喘ぎに煽られるように昂り、昇り詰めてゆく。リザの顔は、自分の後輩を犯す倒錯した悦びで淫らに歪んでいた。
 激しいピストン運動ですくい出された愛液がルネの太腿の内側を伝って流れ落ち、床に白っぽい溜まりを作っていく。
「あはあッ、イクッ……!!」
 ルネを犬の姿勢で激しく犯していたリザが、しなやかな裸身を一際大きく反り返らせてルネの子宮を抉り抜き、絶頂に達した。白い喉をのけぞらせて躯をヒクヒクと痙攣させると、糸の切れた操り人形のように崩れ落ち、ルネの側にぐったりと横たわる。ルネの中に根元まで埋まっていたディルドゥが、透明な愛液の糸を引きながらぬるりと抜け出た。
「ああッ……いや、やめないで! 早く入れてぇ! もっと、もっとちょうだい……」
 ルネは四つん這いのまま、もじもじと尻を振ってせがんだ。昇り詰めたのは、リザ一人だけだった。ディルドゥで女陰を刺激されていた時間が長かった分、ルネより早く燃え尽きてしまったのだ。
 ルネは、リザの股間にそそり立っている黒い人工ペニスに顔を寄せると、すっぽりと口に含み込んだ。そして、狂ったような勢いで頭を上下させ始めた。先端に舌を絡ませ、胴の部分を紅い唇できゅっと締め上げ、頬を窪ませて音を立てながら吸い、しごき立てる。生身の男なら、一分ともたずに射精していただろう。だが、ゴム製の人工ペニスは何の反応も示さなかった。
 ルネは、周りの男達を見た。一人の腰にすがりつき、屹立を握って哀願した。
「お願い……ちょうだい。奥まで突っ込んで、ぐちょぐちょに掻き回して、中にどばっと出してぇ……。熱いのをかけて……。お願い」
「『私はいやらしいメス犬です』と言え! そしたら、お望み通り犯してやるぜ」
「私は……、しい……です……」
「何だって? 聞こえねーぞ」
「私は、いやらしい……メス犬です!! 早く……ちょうだい……」
 ルネはもじもじと腰をくねらせ、握りしめた肉茎を両手でしごいて訴えた。
「そんなに欲しけりゃ、自分で入れな」
 男はほくそ笑みながら、仰向けになった。ルネはその腰に跨り、溢れ出した愛液でヌルヌルになっている秘唇に屹立の先端を咥え込むと、一気に腰を落とした。肉茎がブチュッと音を立てて根元まで埋まり、愛液が飛び散った。
 ルネは男の胸に手を着き、喜悦の表情で腰を振り始めた。深々と飲み込んだ男のものを、蠢く肉襞で締め付ける。やっと手に入れた肉茎を、我を忘れて咥え込み、腰の動きと狭隘な肉路でしごき立てる。
「いいッ……熱いの……熱くて、硬いの……。あッ、奥に当たってる……ッ」
「一本じゃ物足りないようだな。俺達のもやるぜ」
 ルネは、新しい三本の肉茎を口と両手で嬉々として迎え入れた。上下の口で怒張を飲み込み、左右の手にも熱く脈打つ肉塊をしっかりと握り、擦り立てている。ルネは忘我の表情で四本の肉茎を包み込み、しごき、体全体で男を貪っていた。
 男達が、限界を超えた。脈打つ四本の肉茎が、ルネの体のあちこちで精液をほとばしらせ始めた。
「ああッ、熱い……出して、いっぱい……。もっとかけてぇ! メチャクチャにしてぇッ!」
 ルネは恍惚の笑みを浮かべながら、体の内と外に一杯に白濁液を浴びた。精液にまみれながら、これまで味わったのとは桁違いの、初めての高みへと昇り詰めてゆく。
 これよ……! 私、これが欲しかったの……。
 ルネの中で、最後に残っていた一片の「心」が砕け散った。人間としての誇りも、人格も、理性も……何もかもが、まばゆい快楽の業火に飲み込まれ、灼き尽くされ、消滅した。


 男達の肉奴隷に堕ちたルネは、身も心も灼き尽くしたエクスタシーの余韻で躯をヒクヒクとわななかせ、痴呆のような表情で飼い主の次の命令を待っている。
 男の一人が地下牢から出ていき、一人の少年を連れて戻ってきた。あの病室に入院していた四人の少年の中の一人だ。あの時と同じように裸で、手錠を後ろ手に掛けられ鎖の付いた首輪を着けられている。
 男は鎖を引っ張り、怯え切った少年を無理矢理地下牢の中に引きずって来た。
 少年の目が驚愕で見開かれた。あの夜、目の前で凌辱されていた二人の看護婦が、あられもない姿で横たわっている。
 男は、いきなり少年の背中をルネの方に向かって突き飛ばした。不意を突かれた少年は、背を向けているルネの側に倒れ込んだ。
「そいつを可愛がってやれ」
「はい……」
 虚ろだったルネの目に、淫らな光が宿った。
 ルネは床の上でむくりと体を起こすと、少年の方を向いた。少年の躯を痺れるような官能の疼きが駆け抜けた。
 ルネは、全身白濁液にまみれていた。裸の躯を隠そうともせず、白い双乳や下腹部の繁み、股間の肉花を平然と少年の目に晒している。体を起こしたはずみで媚肉の奥から流れ出した白濁液を指で拭い取り、その指をぴちゃぴちゃと音を立ててねぶる。少年の知っているルネとはまるで別人だった。
 牝奴隷の凄絶な媚態を見せつけられ、少年の幼い肉茎はたちまち硬く勃起した。
 ルネは素早い動きで少年を仰向けに押さえ込み、艶然と微笑んだ。半開きの口の中で、舌と歯の間に精液がぬめぬめと白い糸を引いているのが見えた。
 そのまま、少年の唇を奪う。ルネの唇に絡みついている精液のぬるりとした感触が、官能の疼きをひどく刺激する。
 ルネは少年の腰に跨り、勃起を掴んでその先端を淫肉の割れ目に導くと一気に腰を沈めた。女を知らない肉茎が、跨って乗って来た看護婦の中にズブリと入っていった。後ろ手に掛けられた手錠が背中に食い込んだ。
「あッ……! あんッ! なに……これ……ッ……」
 生まれて初めて知る女の柔肉の味。激し過ぎる快感に全身がヒクヒクと痙攣し、頭の中が真っ白になって何も考えられない。
 ルネは、自分の躯の下で悶えている少年の切なげな表情を満足げに見下ろしながら腰を動かし始めた。
 少年の幼い肉茎は、一気に射精寸前にまで高まった。自分の躯がまるで自由にならず、自分のものでないような感覚。ルネとつながった部分がぐいぐいと擦られ、しごかれ、絞り上げられるたびに、目の眩むような快感が内臓を灼きながら脳天まで貫く。凄まじい官能の嵐に翻弄され、息をするのも困難だった。
「あッ……変になる……くはあ……ッ」
 ルネは幼い肉茎を媚肉にずっぽりと咥え込み、その亀頭で肉襞をぐちゃぐちゃに掻き回す。単純なピストン運動だけでなく、時折腰で円を描くようにしてあらゆる角度から肉茎をいたぶる。
 さかりのついたメス犬に嬲られた少年は、二分ともたなかった。
「ああ――――ッ!!」
 少年が悲鳴のような喜悦の叫びを上げながら射精した。ルネの腰をがくんがくんと突き上げ、熱い淫肉の奥に白濁液をぶちまける。肉茎の脈動に合わせて媚肉がヒクヒクと収縮し、少年の若い精液を最後の一滴まで絞り尽くそうとする。
 ブリッジのように反り返っていた少年の背が、がくっと落ちた。
 ルネはそのまま横に転がって、体の位置を少年と入れ換えた。少年は全身をぐったりと弛緩させ、ルネの裸の胸に顔を埋めている。完全に力が抜けている全身の中でただひとつ、ルネの中に埋め込まれたままの肉茎だけが、痛いほどに硬く勃起して熱くみなぎっている。
 誰かが、少年の腰を後ろから掴んだ。
 犯す悦びに取り憑かれたリザが、そこにいた。目が、激しい欲情で濡れ光っている。黒光りする人工ペニスが少年の菊座にぴたりと押し当てられ、そのまま一気に根元まで突き立てられた。
 発情した二匹の牝にサンドイッチにされて前後から犯される哀れな仔犬の鳴き声が、冷たい地下牢に長く尾を引いてこだました。







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この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは関係ありません。