「メガネっ娘凌辱電車」――月曜日




 大学の講義が終わってアパートに帰ると、部屋の中に人の気配がした。
 なんだ、これは……?
 ありえない事態に、一瞬頭が混乱する。
 俺はもちろんしがない独り暮らしの大学生だ。同居人はいない。「合鍵を渡してある彼女」の類もいない。断じていない。いるわけがない。あんまり強調するのもなんだが、とにかくいない。
 よって、俺の留守中に俺の部屋に勝手に入ってくる人間は、「侵入者」に他ならない。
 玄関にはちゃんと鍵がかかっていた。ということは、庭に面した窓から入ったということか。
 自分を落ち着かせ、思考を巡らせながら中の気配をうかがう。侵入者は、俺が帰ってきたことに気付いていないらしい。かといって、室内を物色するのに夢中というわけでもないようだ。それらしい物音は聞こえない。
 息を殺し足音を殺して、体を緊張させ、玄関からダイニングキッチンにそろりそろりと上がりこむ。姿勢を低くして部屋の奥をうかがった俺は……かっくんと脱力した。
 大変に馴染みのあるものが見えたからだ。
 セーラー服を着た少女が、TVの前に座っていた。その制服にも、三つ編みのおさげを左右に一本ずつ垂らした髪型にも見覚えがある。
 こいつは……ひとン家に上がり込んで、なんでTVなんか見てるんだ? やけに熱心に。
 急に、悪い予感がした。ものすごく悪い予感。
 TVの画面が見える位置までそろりそろりと進み、そして俺は、そのとてつもなく悪い予感が当たったのを知った。
 その子が見ていたのは、俺の秘蔵のエロビデオだったのだ。



「鮎奈!」
 いきなり大声で自分の名を呼ばれて、その子は肩をびくっと跳ね上がらせた。
「あ、後藤クン、おかえり〜」
 しかし、振り返ったその顔には驚きの色は全くなかった。
 悪びれたところがまるで見受けられないその顔を、俺は苦々しい思いで見遣る。
 いくらアパートの大家さんの孫とはいえ、なんで十歳近くも年下のガキに「クン」呼ばわりされにゃならんのだ。
 このアパートに入居した頃からなつかれていたのは確かだが、自分の倍近くの人生を生きている相手を「クン」づけで呼べるというのが、俺にはどうも理解できない。
 この年頃の女の子というのは、恐れを知らないところがある。
 ただ、俺に……正確には俺の部屋に、鮎奈を引きつける要因があったのも確かだ。
 俺は、まあ世間で言うところの「オタク」であり、俺の部屋には子供が喜びそうな品物がいくつか転がっている。とりわけ、漫画の品揃えはちょっとしたものである。(店じゃないんだから「品揃え」は変か)
 そんなわけで、鮎奈が俺の部屋に上がり込んで遊んでいくことは時々あった。友達をぞろぞろと引き連れてきて漫画読書会をおっ始めたこともある。
 いつだったか、夏の暑い盛りになぜか体操服姿の鮎奈が友達と二人で上がり込んできて台所に行った時のことはよく覚えている。冷蔵庫の中の冷たい飲み物でも漁るのかと思って見ていると、流しのシンクの排水口の上におわんを逆さに伏せてふさぎ、シンクに水をためて、持ってきた金魚をそこに放しやがったのだ! あれにはさすがに開いた口がふさがらなかった。
 あの時、鮎奈は四年生だったはずだ。紺色のブルマと、胸の名札にマジックででかでかと「まつもとあゆな」と書かれた白い体操服が妙にハッキリと印象に残っている。「子供」そのものだった。
 あの後はさすがにそこまで破天荒な真似をすることもなく、俺の部屋に上がりこむ頻度も少しずつ減ってきていた。
 月日は流れ、俺は大学三年生をもう一回やり直すハメになったというのに、こいつは滞りなく進級して(普通小学校で留年する奴はいないだろうけど)いつの間にやら中学生になっていたのだ。
 鮎奈の登下校に出くわした時にこの制服姿も何度か目にした。メガネをかけているところと、おさげの髪型は昔から全然変わってない。ソバカスは増えたが。
 確かに、これまで浅からぬ付き合いのあった相手なのだ。
 だからといって、いま鮎奈がしでかしていることを許容できるかというとそれは全く別の話だ。
 鮎奈が俺の部屋に上がり込むのは別段珍しくないが、それはいつも俺が部屋にいる時だった。今みたいに留守中に勝手に上がられたことはない。今回が初めてだ。
 しかも、エロビデオを見られた。
 しかも、しかも、しかも、何本もあるエロビデオの中でよりにもよって一番人に見られたくないやつを見られた。

 『メガネっ娘凌辱電車』

 かなりマニアックな電車痴漢ものだ。タイトルが濃厚すぎ。
 これは到底許容できない。鍵のかかった部屋に侵入して、一番恥ずかしいエロビデオを勝手に見やがったのだ。今もまだ見ているのだ(まだほんの出だしの部分なのは不幸中の幸いか)。いわば、俺は己の恥部を覗かれたのだ。
 相手がガキとはいえ、これは笑って済ませるわけにはいかぬ!
「お前なー、いくら大家の孫でも鍵のかかった部屋に勝手に入ったら不法侵入だぞ!」
「窓、思いっきり全開だったよ」
 ……あ。
 そういえば、今朝起きた時に窓を開けた記憶はあるが、その後窓を閉めた記憶がない。講義に遅刻しそうになって焦ってたからな。
 俺の部屋の窓が全開おっぴろげになっているのを見つけた鮎奈がちょっと悪戯心を起こして上がり込み、そこでたまたまエロビデオを見つけてしまい好奇心の誘惑に抗えなかったというだけの話だ。窓を全開おっぴろげにしていた俺にも非がある。
 鮎奈を叱責する大きな前提の一つがもろくも崩れ去ってしまい、俺は石につまずいてつんのめったような心持ちになった。
 しかし、いったん振り上げた拳を簡単に収められる心境でもない。(実際に振り上げたわけではないが)
 そんな俺の葛藤(?)も知らぬげに、鮎奈はビデオを見続けている。
「ねえ、これホントに電車の中で痴漢してるの? すごーい。えっちー」
 顔を画面に向けたまま感想を述べる。どうやら本物の車両と信じ切っているようだが、このビデオは本物の電車そっくりに作られたセットの中で撮影されたものだ。あるポイントに着目すればその違いは一目瞭然なのだが、そんな違いが中坊に分かるわけがないし、分かるからといって自慢できるようなことでもない。
「この人、なんか私に似てない? メガネかけてるし、制服も似てるし」
 思いもよらないことを言われて、俺は面食らった。
 あまりに芳醇な香りを放つタイトルに、まるで誘蛾灯に引きつけられる蛾の如くついふらふらと手に取って買ってしまったので(内容的にはこの上ない大当たりだったので全く後悔していないが)、そんなことは考えたことがなかった。
 タイトルに「メガネっ娘」を冠している以上、当然ヒロインの髪型は三つ編みのおさげだ。
 着ているのは、オーソドックスなタイプのセーラー服。これといった特徴のない、ごく平凡な紺色の冬服セーラーだ。白いスカーフに、襟と袖口には白いラインが三本。
 そう、確かに制服姿の鮎奈にそっくりだ。
「もしかして、私にこういうことしたいわけ? きゃー、後藤クンのえっちー!」
 痴漢の卑猥な手の動きに嬲られるヒロインに、自分を重ね合わせているらしい。血が団体で頭に昇った。
 鍵を破られての不法侵入かと思いきや実は自分の不注意で窓を開けっぱなしにしていたこと。よりによって一番見られたくないものを見られたこと。
 そこにもってきて、このセリフだ。
 このヒロインはな、設定上中学生か高校生に見えるけど立派な大人のオンナなんだよ! 誰がてめえみたいなガキを乳繰り回してやるってんだよ! 勘違いしてんじゃねーぞヴォケ!
 なんだか人としての尊厳をひどく傷つけられたような気がして、怒りのマグマが一気に噴出した。
「そんなわけねーだろ、ガキ!」
「なによ、ガキとは聞き捨てならないわね!」
 鮎奈が立ち上がって抗議する。
「ガキはガキだ! ガキガキガキガキガキガキ、もひとつおまけにガキ!」
 むー、とふくれている鮎奈。どうやら俺は勝利したようだ。(かなり空しい勝利だが)
 しかし、戦勝国気分も長くは続かなかった。
「……いいよ、しても」
「え?」
 不意に鮎奈がくるりと背を向けて、俺の体の前面にぴったり寄り添ってきた。
「このビデオと同じこと、してみてよ」
 少女の髪のにおいが鼻腔をくすぐる。
 セーラー服の胸元から、意外に豊満な胸の谷間がちらりと覗く。
 かつては年齢に不釣り合いにしか見えなかったメガネも、大人の入り口に立った少女の顔立ちと、ギリギリのバランスでもって調和を見せ始めている。
 ガキだとばかり思ってたのに、こいつ、いつの間に……。
 俺は、不覚にも、胸の奥と股間が熱くなるのを感じていた。
「ホントにやるぞ、ガキ」
「いいよ」
 お互いに引っ込みがつかなくなっている。これはチキンレースだ。先にビビってブレーキを踏んだ方が負けだ。
 俺はアクセルを踏み込もうとして、つまり鮎奈の尻に手を伸ばしかけて、その動作を中断した。
 いいことを思いついた。
 ビデオのリモコンを手に取って、痴漢行為の始まりまで巻き戻す。
 スカート越しに手の甲で尻に触れるところから再生開始。
 そして俺は、画面の中の行為を忠実にトレースする。
 鮎奈にしてみれば、自分がされている行為を鏡に映して見せつけられているようなものだ。
 このビデオはもう何十回も見た。テープが伸びるんじゃないかというぐらい見た。どんな行為がどんな順序で展開されるのか、全て頭に入っている。
 目の前の少女がたどる運命を思った途端、俺の股間のものは激しく脈打ちながら膨張してきた。



 画面の中の男は、まず手の甲でスカートのお尻を軽く触る。
 俺もそれに倣う。
 ビデオの内容は、もちろん実際の犯罪行為の記録ではない。演出だ。現実にはありえない、妄想の具現化だ。本物の痴漢行為ではない。
 もちろん俺もそんなことは百も承知でこのビデオを買った。画面の中の出来事は自分とはまるで関係ない世界だと思えばこそ、安心して(というのも変な表現だが)チンポをしごくことができた。
 しかし、いま俺に体を密着させているのは、肉体を持った生身の少女なのだ。
 非現実の世界の出来事が俺の行為を経て、現実に存在する少女の、鮎奈の肉体の上に顕現する。
 画面の中の男は、相手が抵抗しないと見るや急に大胆になった。手の平でお尻を揉みしだく。
 異様な高揚感に包まれた俺も、それに追従する。
 鮎奈の背筋にびくっと緊張が走った。
 すべすべした布地の下の柔らかい感触が、俺を狂わせていく。
 毎日毎日通勤ラッシュでこんな柔らかいカラダにぎゅうぎゅう押しつけられたら、たまんないだろうなあ。変な気分にもなるさ。
 こんな田舎暮らしじゃ、痴漢したくてもそもそも機会がない。大学までは歩いて行ける距離だし、どこに行っても駐車場があるから外出はほとんど全て車だ。
 「痴漢したくても」と書いたが、実際に自分で痴漢をしたいなんて思ったことはなかった。仮に機会があったとしても、だ。こんなビデオを買う俺が言っても説得力がないだろうが「本当に痴漢行為をする奴はアホ。捕まる奴に至ってはもう救いようのないドアホ。氏ね」と思っていた。
 俺のそんな「良識」が、あっさりと溶かされていく。
 「ビデオの内容をなぞっているだけ」というのが免罪符になっているのだ。もう迷いや戸惑いはなかった。
 画面の男(俺)は、鮎奈のお尻を揉みしだいていた右手を下にずらしてスカートの布ごと股間に押し込んだ。伸ばした中指の先を、二重の布越しに少女の秘部に真下から押し当てて小刻みに振動させる。いわば「人力バイブ」だ。
 左手は鮎奈の脇の下をくぐり抜け、胸を鷲掴みにして乱暴に揉みしだく。現実にはこんな派手な真似をする痴漢はいないだろうが、これはビデオだからいいのだ!
「あ……んッ……!」
 鮎奈が、初めて声を漏らした。
 声を上げさせた、その事実が俺を更に昂ぶらせた。
 手の平で卑猥に揉みしだくだけでなく、指先で乳首を探る。だが、セーラー服の厚手の布地とブラジャーの感触がそれを阻む。
 ちっ、ガキがいっちょまえにぶらじゃあなんか着けてんじゃねえよ!
 そのガキに欲情しているという事実を認めたくないという意識が、心の片隅に残っているのだろう。背中から肩越しに覗き込むバストは意外なほどの膨らみを見せているというのに。
 後ろから股間に突っ込んだ右手の「バイブ」をやめ(疲れるから)、指先をぐりぐりと強く押しつける。
「ああん、ふ、んッ……」
 鮎奈が、聞いたこともないような鼻にかかった声を上げて、わずかに頭をのけぞらせた。
 画面の男(俺)は更に、スカートをまくり上げて右手を中に潜り込ませた。カメラ位置からでは見えないが、下着越しに少女の秘部に刺激を加え続ける。
 鮎奈の恥ずかしい部分を覆う布は、熱く湿っていた。
 ガキの鮎奈が、俺に愛撫されて股間を濡らしている。ついこの間まで「子供」とばかり思っていた鮎奈が。
 強い酒に脳を侵されたような非現実感にくらくらする。
「やっ……あ、ああ、んんッ! 後藤クン……」
 鮎奈が肩越しに、こっちを見上げるようにして振り返る。頬は上気し、メガネの奥の瞳はうるんでいる。
 俺は黙って人差し指を立て、自分の唇に当てた。鮎奈の言葉を封じるために。
 画面の少女は、息遣いを少しだけ乱しながらも軽く身じろぎするだけだ。言葉は発せず、ただ男の卑猥な手の動きに身をまかせているだけ。
 そんなシチュエーションを、鮎奈に強要する。
 鮎奈はまた前を向いて「お手本」をじっと見詰め始めた。
 淫裂から湧き出す蜜が布越しに染み出て、俺の指先をぬるぬると濡らす。鮎奈は俺の手から逃れようと、腰をもじもじと左右にくねらせる。まるで、自分から幼い淫裂を俺の指に押しつけているようにも見える。
 それとも、ワザとやっているのか?
 ふと、スカートの中の右手にばかり意識が集中して左手が完全に止まっていることに気付く。胸への責めを再開した俺は、はっとした。
 二重の厚い布越しでも分かるほどに、そこは固くしこっていた。
 鮎奈の体が「女」の反応を示す様に、俺のものも激しく反応して疼いている。
 画面の男(俺)は、そこで妙な動きに転ずる。鮎奈の腰を左右から両手でしっかり掴み、自分は体を反らせて、腰を鮎奈の尻にぐいぐいと押しつける。
 まるで、立ちバックでハメているような動き。
 間に都合四枚の布を挟みながらも、鮎奈の尻肉のプリプリとした柔らかさが俺の剛直に伝わってくる。鮎奈も感じているだろう。自分の尻肉の狭間で蠢く、男の肉を。
 ぐりぐりと押しつける。
 鮎奈は、目を閉じている。顔をわずかに上向かせて、自分の尻に押しつけられる男根の感触に神経を集中しているのだ。
 そんなに興味があるかよ、男のチンポに。
 だったら、もっとハッキリした感触を教えてやるよ。
 俺は鮎奈の手を取って、ズボンの上からチンポを触らせてやる。
「あ……っ!」
 軽い驚きの声を上げたが、鮎奈の手は俺のズボンの固い膨らみから離れようとはしない。
 鮎奈は一人っ子だ。男の兄弟はいない。男のモノといったら父親のそれしか見たことはないだろう。もちろん、こんな猛り狂った状態の男根を娘の目に晒す父親はいまい。
 つまり鮎奈は、勃起した陰茎にいま生まれて初めて接しているのだ。
 保健体育の教科書の味気ない男性器の説明図、一種グロテスクですらあるあんな断面図よりもはるかに実のある性教育だ。
 好きなだけ触って、いじくり回していいんだぜ、鮎奈?
 最初は俺の手の動きに従属するだけだった鮎奈の手は、途中から明らかに自分の意志で動き始めた。ズボンに浮き出た細長い膨らみに沿ってさするように上下し、指と手の平で包むようにして圧力を加えてくる。
 画面の少女は、そこまではしていない。鮎奈は「お手本」を超えた行為をしている。
 口を半開きにし、目をつぶり、頬を上気させて、俺の股間をまさぐっている。
 俺は再び、鮎奈の恥ずかしい部分に手を伸ばした。
 そこはもう洪水だった。
 下着の表面にたっぷりと蜜が溢れ出し、雫になって滴りそうなほどだ。
 このビデオには「セリフ」と呼べる音声は全くない。走行中の電車内の音、そして男と女の生臭く淫蕩な息遣い、衣擦れの音、淫具が唸る音、粘液がぬめる音……。
 女優のわざとらしい甲高い喘ぎ声が延々と垂れ流されるそこらのエロビデオに比べれば、音声面での演出は過剰なまでにストイックだ。
 だが、そこがいい。
 だからこそ、俺の指に絡みつく少女の粘液の湿った音が、微かに聞き取れる。
 俺の男根をまさぐりながら秘部をぐっしょり濡らす、セーラー服の中学生。(しかもメガネっ娘)
 今にも弾けてしまいそうな昂ぶりを、かろうじてこらえる。ダメだ。ここで出してしまってはダメだ……! ビデオの展開から外れてしまう。
 こらえろ。ここで終わりだ。もうじき終わりだ……。
 画面の男が、不意に腰を引いて少女から離れた。そして、少女の耳元に口をよせ、何事か囁く。

『明日も来いよ。もっとイイことしてやるぜ』

 暗転した画面に文字で映し出される男のセリフ。これも無音。あくまで無音。
 やがて電車はホームに滑り込み、少女は電車を降りていく。
 俺は、そこでビデオを止めた。
「……あれ、もう終わりなのぉ?」
 鮎奈が不満気な声を上げる。もう、だと? 一体何を期待してたんだコイツは。ガキのくせに。
 俺は苦笑を噛み殺しながら説明する。
「最初に『月曜日』って出てただろ? 火・水・木・金とだんだんスゴイことされるんだ、このビデオ」
「だんだん……スゴイこと?」
 こちらを振り返った、焦点のぼけた目を覗き込む。欲情で濡れ光っている。明らかに畏れよりも期待の方が上回っている。
「今日はここまで。毎日ちゃんと来いよ」
「うん」
 鮎奈は素直に頷くと、庭に面した窓から出て行った。
 着衣の乱れこそないものの、スカートの中の下着をぐっしょり濡らした女子中学生が、ややおぼつかない足取りで歩いていく。
 爆発こそ免れたものの、俺のチンポもこれからの期待にはち切れんばかりだ。
 今日のところは、触り方も極めて大胆とはいえ服の上からだけだったし、襲いかかる痴漢も一人だけだった。
 しかし、明日からは違う。もはや「チカン」なんて言葉でくくられるような可愛い悪さじゃない。
 タイトルに恥じない「凌辱劇」だ。
 鮎奈が何を考えているのか、正直言って分からない。鮎奈は、当然このビデオのパッケージを見たはずだ。パッケージを見たのなら、内容の凄絶さも理解しているはずだ。
 しかし鮎奈は「このビデオと同じことをしてもいい」と言った。
 犯ってやるぜ、鮎奈。覚悟しろよ。

 この小さな、小憎らしい、愛すべき少女をメチャクチャに凌辱することを決意した俺の顔は、鮎奈の目にはどう映っていたのだろうか。

【火曜日につづく】







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この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは関係ありません。